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  • 執筆者の写真takashi suzuki

労働災害を防止するヒヤリハット活動

更新日:2023年10月21日

同じ組織内で似たようなトラブルが繰り返し発生するのは、単に、人のミスを問題の根源として捉え、組織としての深い要因に目を向けずに対策をとっていないためです。 

エラーの発見と防止のためには、ヒヤリハット活動が極めて有効です。

ヒヤリハットは、実際の事故やトラブルには至らなかったが、その可能性があった場面を共有・分析することで、未然にリスクを回避する手法となります。

従って、組織内のエラー予防にはヒヤリハット活動の積極的な実施が欠かせません。


 

最初に一つ、質問をさせてください。

皆様は仕事中に何か危ないと感じる瞬間や、うっかりしたことで、怪我やトラブルになりそうになった経験はないでしょうか?

それがまさに「ヒヤリハット」です。

名前のとおり、ヒヤッとする出来事や、ハッとする瞬間、実際には事故には至らなかったけれど、もしも、そのまま放置していたら大きな問題に繋がりかねない事象を指します。

今、私たちの周りで起こっている多くの事故は、予兆としての、ヒヤリハットが、「前もってあった」と言われています。

実際、ハインリッヒの法則という有名な法則が示すように、1件の重大なアクシデントの背後には、数え切れないほどのヒヤリハットが存在しています。

では、なぜ、ヒヤリハットに注目するのでしょうか?

それは、「ヒヤリハット」を適切に対応し、分析することで、事故を未然に防ぐ手がかりとなるからです。

ヒヤリハットは、まさに事故の種であり、これを放置すれば、いつか大きな災害に繋がる可能性があります。

逆に言えば、ヒヤリハットをしっかりと捉えることで、事故や労働災害のリスクを大幅に減少させることができるのです。

中国医学に「上工は未病を治し、中工は已病を治す」という言葉があります。

具体的には、高度なお医者様(上工)は、病気が発症する前に病気を予防することができ、中程度のお医者様(中工)は、病気になってしまった後に治療で治すことを示しています。

これを「ヒヤリハット」という概念と結びつけて考えると、ヒヤリハットとは、事故や災害に至る一歩手前の出来事や状況を指します。

つまり、実際の災害や事故が発生する前の、危険な状態や出来事を捉えることができるのがヒヤリハットです。

ヒヤリハットの段階で危険を察知し、対策を講じることで、事故や災害を防ぐのが「上工」つまり立派な技術者・立派なリーダーに相当します。

一方、事故や災害が発生してからその後の対応や措置を行うのが「中工」、並みの技術者・並のリーダーに相当すると考えることができます。

したがって、この原則は予防が最も重要であり、早期に問題を察知し、対応することの大切さを伝えていると言えるでしょう。

ヒヤリハットの捉え方も同様に、事前の察知と、対策が重要という考え方と合致します。

今日は、ヒヤリハットの定義、そしてそれをどのように捉え、どのように対応すれば良いのかについて学んでいきます。

しかし、その前に皆様と一つ、意識を共有したいことがあります。

それは「事故は誰にでも起こり得る」ということです。

ヒヤリハットを軽視することなく、一人一人がしっかりと向き合い、それを共有することで、より、安全な職場環境を作り上げていくことが私たちの目標です。

このセミナーが、皆様の安全意識を一層高めるキッカケとなれば幸いです。


 

ヒヤリハットとは、仕事中に危ないと感じる出来事や状況のことを指し、これによって実際の災害や事故は発生していないものの、事故の危険性を示唆する事象となります。

具体的には、作業中に何かが危うく事故に繋がるような状況に遭遇するものの、実際には災害には至らなかった場合を指します。

これは、ハインリッヒの法則に基づき、1件の重大なアクシデントの背後には、29件の軽度のアクシデントと、300件のヒヤリハットが存在するとされ、事故発生のパターンや頻度を示しています。

ヒヤリハット活動は、これらの事象を積極的に収集し、それに基づいて対策を練り、危険の認識を高めることを目的としています。

この活動は、事故を未然に防ぐための重要な手段であり、作業者、個々の日常の安全活動として実践することが推奨されています。

そもそも、私たちの職場での事故、職場での労働災害を防止する目的で行うヒヤリハットですが、職場での労働災害はどのようにして起こるかを見ていきましょう。

事故の発生をモデル化したものに、スイスチーズモデルというものがあります。スイスチーズモデルとはスイスチーズを安全対策、チーズの穴を脆弱な部分にたとえた考え方です。

エラーがすべての穴を通り抜けると、それは事故・トラブルへと発展してしまうものです。

いま、ここに、危険源があったとします。

しかし危険源があったとしても、いますぐ、事故につながるかといったらそうではないと思います。

私たちの職場には危険源を事故にさせないような幾重もの防護壁があるからです。

この防護壁が、チーズとして表現されています。

例えば、今ここに毒性の強い化学物質があったとします。

吸い込んだら病気になってしまいます。しかしそうならないよう、私たちの職場には、工学的な対策、局所排気装置、ドラフトの中で作業しようよ。

という防護壁があるでしょう。

また、管理的対策、作業者以外は立ち入らないようなルールで災害を防ごうよ。

という防護壁があるでしょう。

また、教育的な対策、定期的に座学、OJT、など、教育訓練をして災害を防ごうよと。

いう防護壁があるでしょう。

さらに、現場の小集団活動、ヒヤリハット、KYTなどをおこなって災害を防ごうよ。

という防護壁があるでしょう。

理想的な世界では、各、防御壁は無傷で強固なものですが、実際には、それらはスイスチーズのスライスのようなもので、多くの穴があります。

ただし、チーズとは異なり、これらの穴は絶えず開閉し、位置を変えています。

1つの防護壁に穴、脆弱な部分が存在しても、通常は悪い結果にはなりません。

しかし、多くの防護壁の穴が瞬間的に並んでしまった場合に私たちに良くない結果をもたらす可能性があります。

防御の穴は、アクティブな障害と潜在的な状態という2つの理由で発生します。

この防護壁を劣化させるのも、穴を大きくさせるのも人、であります。

つまり私たちは弱くなった壁、大きくなった穴を早期に見つけて補修しなくてはならないというわけです。

そういった活動はできているでしょうか。

安全に対する意識が薄れてしまっていないでしょうか?

「安全教育」は、効果的にできているでしょうか?


 

組織内の問題は、往々にして関連する人々の直接的、または、間接的な過失から生じます。しかしながら、このような問題の背後には、破損や劣化した壁が存在していることがよくあります。

このような壁は、組織の運営上の欠点によってさらに弱くなり、時として完全に消失することもあります。

これが私たちのミスの主な原因となるのです。

つまり、事故などを起こしてしまうのは、残念ながら当事者であり、問題が顕在化するとその人が怒られたり、責任を取らされたり、クローズアップされがちですが、そもそも組織には事故、トラブル、不祥事等を起こさないようなハード対策、ソフト対策、マネジメントがあったはずではなかったでしょうか。

それが機能しなかったのはなぜでしょうか。

見て、見ぬふりをしていなかったでしょうか?安全への意識が薄れていなかったでしょうか。引き金を引いてしまったのは当事者です。

しかし、引き金を引かせてしまった、引き金を引くように、誘引させてしまったのは組織の問題ともいえます。

同じ組織内で似たようなトラブルが繰り返し発生するのは、単に、人のミスを問題の根源として捉え、組織としての深い要因に目を向けずに対策をとっていないからです。 

エラーの発見と防止のためには、ヒヤリハット活動が極めて有効です。

ヒヤリハットは、実際の事故やトラブルには至らなかったが、その可能性があった場面を共有・分析することで、未然にリスクを回避する手法となります。

従って、組織内のエラー予防にはヒヤリハット活動の積極的な実施が欠かせないということです。


 

皆様の職場でも安全教育というものがなされていると思いますが

やってはいるのだけれど、なかなか効果が・・・というお話を聞きます。

例えば

紙マニュアルがあっても活用されず更新もされない

マニュアルが機能せずOJTなど口頭ベースでの教育に依存しがち

口頭ベースだと人によって説明がバラつき、注意点や危険なポイントが伝わらない

OJTは現場責任者など定常に追われている人がするため、安全教育に時間を避けず、中途半端に

結局朝礼などで全体共有、新人の入場教育など伝える場面が限られる

1回で完全に理解することができないから、正しい手順が伝わらず労災につながる

とても耳が痛いです。

では、この安全教育が効果的に進められない理由に対して深掘りをしていこうと思います。


 

このようなケースを深掘りしていくにはなぜなぜ分析が良いと思います。

「なぜなぜ分析」とは、問題や現象の原因を明らかにするために、連続して「なぜ?」と問いかける手法です。

「紙マニュアルがあっても活用されず更新もされない」という事例に対するなぜなぜ分析を繰り返してみます。

なぜ、紙マニュアルがあっても活用されず更新もされないのか?

なぜ1→マニュアルの存在や内容が社員に十分に伝わっていない。

なぜ2→社員間での情報共有の仕組みが不十分である。

なぜ3→定期的なミーティングやトレーニングの機会が少ない。

なぜ4→経営層やマネジメント層が安全文化や情報共有の重要性を十分に認識していない。

これは一つの例であって、必ず根本原因に行きつくものではありませんが、

トップの安全に対する姿勢の問題が浮き上がってきました。 

組織行動には経営層やマネジメント層が安全文化の重要性を認識し、その価値を共有することが最も重要です。

ただし、経営層は基本忙しく、私たちの現場のことだけを考えているわけでは、ありません。

そこで、私たちがヒヤリハット活動など現場のアイディアや意見を提供し、それを基に運営を行うというアプローチはどうでしょう。

非常に有効と思います。つまり、経営層と私たち現場の専門職の双方向のコミュニケーションのツールにヒヤリハットはなりうるということです。


 

「マニュアルが機能せず、OJTや口頭ベースでの教育に依存しがち」という事例に対するなぜなぜ分析を繰り返してみます。

なぜ、マニュアルが機能せず、OJTや口頭ベースでの教育に依存しがちなのか?

なぜ1→マニュアルの更新や改善のプロセスが不十分であり、定期的な見直しが行われていない。

なぜ2→社内でのノウハウや経験が口頭や実際の作業を通じて伝えられる文化が根付いており、マニュアルの重要性が認識されていない。

なぜ3→従業員やリーダーからのヒヤリハットが報告されておらず、組織がリスクを正しく認識していない。

なぜ4→ヒヤリハットの報告システムが存在しない、または存在してもそれを利用する文化や意識が育成されていないため。

そもそも、ヒヤリハットの報告システムが存在しないと先に進めませんね。

結論として、ヒヤリハットが報告されていないことが、組織内でのリスク認識の欠如と、それに続くマニュアルの不十分さや教育の非効率を引き起こしていると言えます。

ヒヤリハットの報告を奨励し、それに基づく組織の改善活動を進めることで、マニュアルの活用や教育の質を向上させることが期待されます。


 

「口頭ベースだと人によって説明がバラつき、注意点や危険なポイントが伝わらない。」という事例に対する、なぜなぜ分析を繰り返してみます。

なぜ、口頭ベースだと人によって説明がバラつき、注意点や危険なポイントが伝わらないのか?

なぜ1→個人の経験や知識、表現能力によって説明の内容や方法が異なるから。

なぜ2→組織内での共通の教育やトレーニングが不十分で、情報やスキルの伝達が均一では、ないから。

なぜ3→情報や技術の更新が頻繁にあり、それを追っての教育体制の更新や資料の整備が追いついていないから。

なぜ4→ヒヤリハットや危険点に関するフィードバックの収集や、共有メカニズムが確立されていないから。

結論として、口頭ベースでの説明のバラつきや注意点、危険なポイントの伝達不足は、組織内でのヒヤリハットを共有する文化や体制の不在に起因しているといえます。

ヒヤリハットの報告を奨励し、それに基づく組織の改善活動を進めることで、口頭説明教育の質を改善させることが期待されます。


 

「OJTは現場責任者など定常に追われている人がするため、安全教育に時間を避けず、中途半端に。」という事例に対するなぜなぜ分析を繰り返してみます。

なぜ、OJTは現場責任者など定常に追われている人がするため、安全教育に時間を避けず中途半端になるのか?

なぜ1→現場責任者などが日常業務で忙しく、安全教育に十分な時間を割けないため。

なぜ2→業務量が多く、緊急のタスクや突発的な問題への対応が頻繁に発生するため。

なぜ3→予防的な管理や計画が不十分で、反応的に問題対応を行う組織体制となっているため。

なぜ4→組織内のリソースや研修が不足しており、組織の文化や価値観が予防よりも対応を重視しているため。

結論として、安全教育が中途半端になる、主要な理由は、組織文化や価値観が反応的な問題対応を重視し、予防的な対策や安全教育が後回しになってしまっているからのようです。

まずは認識の共有など、組織の現状や特性に応じてスタートさせることが重要です。

つまり、身の丈に合った小さなヒヤリハット報告から始めると良いでしょう。


 

「朝礼などでの全体共有の時間や新人の入場教育など、伝える場面が限られている。」という事例に対する、なぜなぜ分析を繰り返してみます。

なぜ、朝礼などでの全体共有の時間や新人の入場教育など、伝える場面が限られているのか?

なぜ1→他の、多くの業務やイベントが優先され、安全教育のための専用の時間や、場を確保するのが難しい。

なぜ2→経営層や管理層が短期的な業績や、成果を重視し、長期的な安全教育の重要性を十分に認識していない可能性がある。

なぜ3→企業文化や価値観が短期的な成果を重視する傾向にあり、安全教育の長期的な利益や必要性が明確に伝わっていない。

なぜ4→過去の経営方針や外部環境、競争の激しさから、短期的な成果を上げることが求められてきたため、その流れが継続している。

結論として、企業文化や価値観が短期的な成果を重視する傾向にあり、そのために長期的な安全教育の重要性が十分に認識されていないと考えられます。

これを改善するには、ヒヤリハット報告などを利活用し、ボトムアップにより経営層や管理層が安全教育の長期的な価値や利益を理解し、企業文化や価値観を変革する必要があります。


 

「1回で完全に理解することができないから、正しい手順が伝わらず労災につながる。」という事例に対する、なぜなぜ分析を繰り返してみます。

なぜ、1回で完全に理解することができないから、正しい手順が伝わらず労災につながるのか?

なぜ1→複雑な作業手順や情報が多すぎて、一度の説明では覚えきれなかった。

なぜ2→作業手順の整理や最適化がされておらず、不要な情報や手順が混ざっている。

なぜ3→作業手順の改善や見直しのための時間やリソースが確保されていない。

なぜ4→経営層が作業効率や安全性の向上の重要性を理解していないか、他の緊急の課題にリソースを割いている。

このようにも考えられます。

なぜ、1回で完全に理解することができないから、正しい手順が伝わらず労災につながるのか?

なぜ1→指導が一度しかされなかったため。

なぜ2→研修プログラムや教育システムが整っていないため。

なぜ3→組織内でのスキルや知識の伝達の重要性に対する認識が不足していたため。

なぜ4→組織のトップマネージメントが、教育と研修の重要性や、安全に対するコミットメントを十分に発揮していなかったため。

経営層と現場とのコミュニケーションの強化や作業手順の見直し、研修体制の整備などの施策を検討することで、同様の事例の再発防止に繋げることができるでしょう。

労働災害が起こる根本原因は、組織の運営上の欠点ですと申しましたが

組織内のエラー予防にはヒヤリハット活動の積極的な実施が欠かせないということです。


 

ヒヤリハット報告が重要な理由はこれまで申し上げた通り大きく分けて2つ

現場間の情報共有のため、と、危険意識の定着のためです。

ヒヤリハット報告は、ヒヤッとしたハッとした事象を報告・記録し、再発防止のための対策を練るためのものですから、ここで注目すべき点は、事故には至らなかったとはいえ、それが次回は事故に繋がる可能性があるということです。

そのため、ヒヤリハット報告は、事故予防と組織の安全文化向上の鍵となります。

以下に、その重要性を「現場間の情報共有」の視点から簡潔にまとめます。


学びの共有

一つの現場でのヒヤリハット体験は、他の現場の事故予防への手がかりとなる可能性があります。

情報の共有により、似たようなリスクを他の場所で避けることができます。


再発防止

ヒヤリハットの情報が広まることで、解決策や新しいアイディアも共有される。多様な意見や経験が集まることで、より効果的な予防方法が導き出される可能性がある。


安全文化の醸成

ヒヤリハット報告の継続は、安全を重視する組織の姿勢を示すものです。これにより、組織全体の安全への取り組みや意識が向上します。


トラブル発見の早期化

多くの現場からのフィードバックにより、特定のリスクや問題のトレンドを早く認識することが可能となります。


信頼の確保

透明性を持ち、情報を開示することで、組織と従業員や関係者との間に信頼関係が築かれます。


 

なぜなぜ分析のところで、経営層は常に多忙で、現場のみに焦点を当てているわけでは、ありません。そのため、私たちが現場の意見やアイディアを伝えることで、それをもとにした運営方法は効果的だと述べました。

経営には現場からのフィードバックを取り入れる経営スタイルが求められており、この手法には様々な利点や背景があるということです。

以下に、現場のアイディアや意見を重視するアプローチのメリットを簡潔にまとめます。


現場の実態把握

現場の従業員は日々の業務を通じて、具体的な課題や改善点を最もよく知っています。その情報は、経営の意思決定において非常に貴重なものとなります。


迅速な意思決定

現場の情報や意見を直接取り入れることで、迅速かつ正確な意思決定が可能となります。


従業員のモチベーション向上

従業員が自らのアイディアや意見が経営に反映されると感じると、そのモチベーションや、所属意識が向上します。

また、自分たちの意見が評価されていると感じることで、より一層のアイディア提案や取り組みが生まれることが期待されます。


継続的な改善

現場からのフィードバックを経営が取り入れることで、組織全体としての継続的な改善や革新が促進されます。


経営と現場のギャップを埋める

経営層と現場層との間には、時として情報や認識のギャップが生じることがあります。

現場の声を直接吸い上げることで、このギャップを小さくすることができます。

以上のように、現場の声を積極的に取り入れる経営スタイルは、組織の効果的な運営や、成長を促進するための重要な要素となります。

しかし、これを実現するためには経営層が現場の声に耳を傾け、それを経営に取り入れる姿勢やシステムが求められます。

つまり、経営層と私たち、現場の専門職との、双方向のコミュニケーションが求められることを強調したいと思います。


 

組織が対応重視の文化を持ち、予防に対するリソースや研修が不足している場合、以下の7ステップでヒヤリハット活動を実施することを検討してみてください。


ステップ1 認識の共有

まずは組織内でヒヤリハットの重要性を共有することが必要です。

経営層やリーダー層に、事故予防の重要性とヒヤリハット活動のメリットを理解してもらうことが第一歩です。キックオフといいましょうか。

さぁ、やるよ。という意思表明ですね。


ステップ2 簡易な報告システムの導入

無理に大掛かりなシステムを導入する必要はありません。

簡単な報告書やフォームを用意し、ヒヤリハットが発生した際にはその情報を集約できるようにすることから始めてみてください。

メモを残す程度のお手軽感で何かあったらメモを残しておいてくれよな。から始めてみましょう。


ステップ3 報告の無罰化

ヒヤリハットを報告することによる罰則や不利益がないことを明確に伝えることで、スタッフからの報告の敷居を下げます。

ヒヤリハット報告をした人がその対策までしなければならない。

のように思いこんでしまう人もいるでしょう。

報告した人には褒賞するようなアイディアも必要です。


ステップ4 情報の共有

ヒヤリハットの情報を定期的に共有し、組織内での学習の機会を作り出します。

これにより、似たような事象の再発を防ぐことが期待できます。


 

ステップ5 対策の検討

ヒヤリハット情報からリスク要因を分析し、具体的な対策を検討して実行に移すことが重要です。

さらに現場の労働者を、参画させることにより労働者の安全に関する認識が一段と進み、より、作業現場の状況を的確に捉えたものになることが期待されます。


ステップ6 研修の強化

ここからは、レベルが高くなるのですが、将来的には、ヒヤリハットや事故予防に関する研修を強化することで、組織の安全文化を醸成していくことが望ましいです。


ステップ7 経営層のコミットメント

経営層が安全文化の重要性を理解し、それを組織全体に伝え続けることで、従業員の意識や行動が変わっていくでしょう。

実際の取り組みを進める際は、組織の現状や特性に応じて、上記のステップをアレンジすることが必要ですが、ヒヤリハット活動を成功させるための、基本的な方針として参考にしてみてください。


 

まず、巡視、安全パトロールの実施例をご紹介します。

ここで挙げるのは、集団で行うヒヤリハット活動の一例です。

参加するのは、社長や工場長のような経営層、他部署のスタッフ、オフィス職員、委員会メンバー、そして経験が浅い新人など、さまざまな職員が考えられます。

皆さまの職場で最も効果的な組み合わせを選んで実施してください。

例えば、経営陣が安全巡視に来た場合、現場のスタッフは驚くかもしれませんが、経営層が現場に興味を持っていることに感謝する気持ちにもなるでしょう。

また、新人が巡視に来た場合、その新鮮な視点は、凝り固まった組織文化を見直す良い機会かもしれません。

実施方法は多様で、パートタイマーを含む「安全当番」のローテーションや、オープンなコミュニケーションを奨励する雰囲気作り、作業者からのフィードバックを取り入れるなどの方法があります。

しかし、注意しなければならない点として、ミスを個人の不注意だけに帰すことなく、また誰かを非難することなく、警察の取り締まりのような態度をとらないことが大切です。


 

巡視(安全パトロール)の視点としては

まずは、危険な行動を取っている人はいないか

設備、装置は安全な状態になっているか

5Sは徹底できているか

このあたりから始めるとやりやすいと思います。

しかし、この巡視を行う際、重要なのは、実施者が現在の標準、ルールや期待される状態をきちんと把握しているかということです。

明確な基準がなければ、評価そのものが難しくなるでしょう。

今、まさにお仕事で使っているものを指して、かたづけができていないなどと言われたら本業に支障が出てしまいます。

このため、「基準の整備」「あるべき姿」に、関する教育が不可欠です。

それでも、すべての基準や理想の状態を知らない人が、ヒヤリハット活動を実施できないわけではありません。

疑問や不明点があれば、質問して解決することが大切です。

例えば、「なぜ有機溶剤を使用しているのに、呼吸用保護具を使用していないのか?」という質問には、「こちらの場所は十分な換気が行われており、作業環境の測定結果も、第一管理区分であり、ばく露測定データも許容濃度を下回っているため、呼吸用保護具がなくとも快適に作業が行えます」という返答が考えられます。

このような、双方向のコミュニケーションを通じて、より安全な文化を築いていくことが望ましいと考えます。


 

次に、個人が行うヒヤリハット報告の一例です。

先にも申しましたが、はじめはメモを残す程度のもので十分です。

タンクから漏れがありましたよ。

薄暗いから気づきにくかったです。


 

メンテナンスに来た外部の業者さんから装置の使い方が汚いと言われました。

カバーを提案されました。


 

においは感じないのですが薬品の充填作業のところの濃度を測ったら高かったです。

充填の時は呼吸用保護具を使うよう指示しました。作業標準に落とし込んでください。


 

現状の課題がわかったら

情報は全てのチームのメンバーに共有しましょう。情報の共有です。

ルールは定期的に見直して、適切な方法で書いておきましょう。

これは対策の検討、マニュアル化です。

決められたルールが適切かどうか、決められたルールが守られているか、再度、繰り返してチーム全員でチェックしましょう。これは巡視、安全パトロールです。

不適切だったら声かけをしましょう。


 

情報の共有についても、効果的な方法を選んで適用していただきたいです。

機動力に優れたお手軽な会議を一例として示します。

多くの職場では、作業開始前に簡単な打ち合わせが行われるかと思います。

この時期が情報共有の適切なタイミングと考えられます。

会議は短く、軽快に行うのが望ましいです。

参加者との近さから作業者の理解度を表情で判断できる程度の距離を保つと良いでしょう。

大きな会議室よりも、コンパクトなスペースが適しています。

実施者としては、現場のリーダーやその他の社内事項に詳しい経験豊富な者が最適です。

参加者としては、作業者や、その上司、関連部門のリーダーなどが考えられますが、人数は必要最小限にとどめるのが良いでしょう。

会議内容として、ヒヤリハット情報、機器や設備の詳細、化学物質のリスク、関連する法律や社内の基準、過去の問題事例などを総合的に検討し、リスク要因を分析することが重要です。

これらの情報は、明瞭で、理解しやすい言葉を使って伝えるべきです。

マニュアルやリスク評価シートを参照して情報共有を行います。


 

安全管理の教育では、しばしば知識中心のアプローチがとられがちです。

ヒヤリハットの事例や過去の事故事例を詳細に分析する際、問題が、「知らなかった」ためなのか、「実行できなかった」ためなのか、あるいは「行動しなかった」ためなのか、またはこれらの組み合わせに起因するものなのかをしっかりと特定することが重要です。

その結果を基に、事業所や自分の職場の弱点を考慮し、適切な教育方針を策定し、継続的な教育や指導を行うことが求められます。


 

① 知識教育

正しい知識を、きちんと、わかりやすく、言葉で伝えることが大切です。

教育・指導担当者は工場作業の基礎知識(具体的に取り扱う装置、設備の構造、機能、ならびに取扱い時の注意点等)をよく学んでおく必要があります。

実際の知識教育の際は、自社マニュアルを教材に使うことが望ましいです。


② 技能教育

「できなかった」を無くすためには、十分な力量(知識と技能)のある、教育担当者のOJTを通して取扱い方法(装置、設備、あるいは手作業)を教育します。

必ず作業手順書(マニュアル)をきちんと整えておくことが前提です。

作業手順書が完成したときには、安全衛生、品質、効率、それぞれの要因を踏まえたバランスの取れた手順書であるかどうかを確認する必要があります。


③ 態度教育

法令を遵守した行動をとること。

ただし法令の遵守だけでは労働災害、ほか、不祥事の予防には限界があり、自組織の自律的な管理が求められます。

組織規則を遵守した行動をとること。

ただし窮屈な規則のイチ備えではなく日々の業務において意思決定の、よき、ツールで活用することが重要です。

常に倫理的行動を励行し、様々な価値観の中で、我々が良く生きるために、どう意思決定し、どう行動していくかを常に考えていきます。


 

さいごのまとめです

ヒヤリハットは適正な作業管理を行い、お互いの信頼関係を築くためのツール、とも言えます。

災害を未然に防ぐためには、労働災害を撲滅するには、関わるすべての人が危険に関する知識を持ち合わせ、それを共有することが重要です。

この知識の共有の過程をリスクコミュニケーションと呼びます。

わざと事故や失敗を招きたいと思う人はいません。

しかし、情報が足りないと、予期しない問題が生じてしまうこともあるでしょう。

まずは、情報の提供と共有からスタートしましょう。

詳しく説明することで、従業員もリスクの本質を捉えるはずです。

リスクを理解した従業員からは、具体的な疑問や提案が生まれるでしょう。

そのフィードバックは、ヒヤリハットとしての気づきや改善の糸口となるでしょう。

そのような疑問や提案には、きちんと答えることで、更なる理解が深まるでしょう。

そして、従業員からの提案や新しいアイディアは、皆さんにとって、新しい発見や改善の機会となるかもしれません。

このような、ポジティブなサイクルが、安全で信頼される作業環境を築く鍵となります。


 

米国立研究審議会の定義によるとリスクコミュニケーションとは

「利害関係者間のリスクに関する情報と意見交換による、相互作用の過程」とあります。

単にリスクについて誰かに教えたり、リスクが小さいことを納得させたり、専門家やトップ同士が話し合うことでは決してありません。

技術者・研究者、または工場のトップが工場の従業員を含む、利害関係者と成果やリスクについて、双方向のコミュニケーションすることがリスクコミュニケーションです。


 

近頃の従業員は意思疎通ができない、コミュニケーションができない、などというお話をよく耳にしますが

コミュニケーションとは・・・

社会生活を営む人間の間に行われる知覚・感情・思考の伝達、言語・文字、その他視覚・聴覚に訴える各種のものを媒介する、合意でも説得でもなく・・・

信頼関係の構築につきます。


 

工場の安全は、製造ラインや安全担当部門だけで作り上げられているわけではなく、

総務や環境安全部などのサポート部門も貢献しています。

工場の安全は、全体としての協力と、組織全体のシームレスな機能によって実現されるものです。

つまり、改善活動が重要です。

気づいたら、すぐやる習慣を身につけましょう。


一代技術士事務所 鈴木

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