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  • 執筆者の写真takashi suzuki

化学物質による事故・汚染、化学物質の危険性、有害性、取扱い方

「あの花」「芝桜」で有名な、御花畑駅すぐそば一代技術士事務所です。


私の所属している化学物質管理士協会が行う化学物質管理試験の科目の一つである化学物質による事故・汚染、化学物質の危険性、有害性、取扱い方について取り上げてみます。


化学物質の人への影響評価は、人の健康へ望ましくない影響を与える可能性、すなわちリスクとして表現されます。化学物質のリスクの大きさは、化学物質の有害性の程度(ハザード)とばく露量(頻度)で決まります。人の健康への影響を評価するためには化学物質の有害性の特定をしなければなりません。化学物質の有害性の影響は、一部の発がん性の化学物質を除いて一定量暴露されるまで発生しないことがわかっており、影響を与えない最大のばく露量を閾値といい、閾値が小さい物質ほど少量で人の健康に影響を与える可能性があります。つまり有害性が強いと言うことです。しかし、正確な閾値を得ることは難しく、疫学調査や動物試験などから無毒性量(NOAEL)などが有害性の程度を表す指標として用いられます。有害性の程度を表す指標では、急性毒性ではLD50、慢性毒性では無毒性量NOAEL、無影響量NOEL、人の経口ばく露の慢性毒性では、耐容一日摂取量TDI、許容一日摂取量ADIが用いられます。これらの指標を人の健康に対する無毒性量に外挿して無毒性量を求めます。その際、試験動物と人の種差、個人の感受性の違い、NOAEL、試験期間などの不確実性を補正する係数を設定し、動物試験から求められた無毒性量などを割って人の無毒性量が算出されることが一般的です。

一方、ばく露とは人が化学物質と接触することの総称です。その経路は、呼吸による吸入ばく露、飲食物を介した経口ばく露、皮膚接触による経皮ばく露があります。ばく露経路により、化学物質の体内への吸収のされ方や懸念される有害性の種類や強さが異なってきます。環境中へ排出された化学物質は、大気、水域、土壌の環境媒体と大気、食品、飲料水のばく露媒体を経てばく露の対象に到達します。ばく露評価では化学物質のばく露媒体中の濃度を推定しなければなりません。化学物質に長時間暴露することによって生じる慢性影響を対象にするリスク評価では、人が生涯ばく露しつづけるかもしれない濃度を前提として評価します。毒性が強い化学物質を少しだけ摂取しても何ら影響はありませんが毒性が弱い化学物質を大量に摂取すれば影響が出ます。すなわち摂取量が無毒量を上回るかどうかで影響の有無が決まるということです。この量を定量的に行うことがリスク評価の考え方です。

(引用:よくわかる製造業の化学物質管理 改訂2版

 オーム社)


一代技術士事務所 鈴木


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